寒さと飢えに苦しむ幼い子のためにパンをひとつ盗んで、19年を監獄で過ごすことになったジャン・ヴァルジャンを主人公にくり広げられる叙事詩的な小説。この巻は、第1部「ファンチーヌ」を収録。ミリエル司教と銀の燭台のエピソード、マドレーヌ市長になったジャンを怪しむ冷酷なジャヴェール警部、哀れな母親ファンチーヌと残された幼い娘など、劇的スリルあふれる場面が描き出されてゆく。
第2部「コゼット」を収録。幼いコゼットを残して死んでいったファンチーヌとの約束を果たすべくジャン・ヴァルジャンは脱獄、コゼットを救い出す。パリに移り住んだ二人に忍び寄る警察ジャヴェールの冷酷な眼。包囲されたことに気づいて間一髪で逃げ出した二人をジャヴェールが追いつめる…。劇的なスリルとユゴーの宇宙的な夢想が、読む者の心を魅惑する。
第3部「マリユス」を収録。王党派貴族の祖父に育てられた純な青年マリユスは、仲間たちに感化されて社会主義の道に進み、家を離れて貧しい暮らしを始める。毎日のように散策に行く公園で必ずいつも出会う父娘があった。マリユスは、その未知の少女の可憐な姿に憧れをいだく。少女はジャン・ヴァルジャンに育てられたコゼット―ひとつの出会いが人々の運命を大きな渦の中に巻き込んでゆく。
第4部「プリュメ通りの牧歌とサン・ドニ通りの叙事詩」。七月革命後のパリは、混乱をきわめていた。マリユスは、反政府秘密結社の一員として活動を続ける一方、コゼットとの愛を育んでゆく。その彼を慕うエポニーヌ、パリ路上の浮浪児ガヴローシュ、さらにテナルディエそしてジャン・ヴァルジャン…人々の転変が、激動期を背景に描かれてゆく。6月暴動を背景に展開する小説の核心部。
第5部“ジャン・ヴァルジャン”を収録。1832年6月、パリの共和派の市民たちが峰起、バリケードを築いて政府軍と戦闘に入る。その中にはマリウス、そしてジャン・ヴァルジャンと彼をつけ狙うジャヴェールの姿があった。マリウスに嫉妬の思いを抱きながらも、瀕死の重傷を負った彼を背負って地下道を彷徨い、その命を救うジャン・ヴァルジャン。苦難にみちた人生の黄昏に、なおも襲いかかる孤独の悲しみ―やがて最後の時が訪れる。
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